文化強化月間(1)

文化強化月間

粧っていた山も眠りにつき始める今日この頃、日没はどんどんと早くなり、夜は長さを増しております。

ということで、ちょうど知己の関わる舞台が続くのでせっかくだからそれ以外も加えて色々見てインプットしようという月間でした。

11月最終週から今日までのおよそ20日間で4つの舞台を見てまいりました。その感想をつらつらと書いていこうと思います。

新国立劇場シモン・ボッカネグラ

最初を飾るのはこちらのオペラ。椿姫やアイーダで有名なヴェルディの作品です。恥ずかしながら私もタイトルだけは知っていたものの、聞いたことはありませんでした。

イタリアはジェノヴァの新たな総督シモン・ボッカネグラをめぐる政治と愛憎劇とも言うんでしょうか。200年も前の作品にネタバレもなにもないので、あらすじは調べてください。

まずはプロローグ。そう、よくあるオペラは普通「前奏曲」で始まります。カルメンフィガロの結婚、こうもりの前奏曲はCMなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、シモン・ボッカネグラはプロローグで始まります。いきなり歌が入るわけですね。

シモン・ボッカネグラが総督になった経緯、彼の愛した人の死、許されなかった恋、そして生き別れることとなった娘。そういった背景が次々と歌われます。

既に写真や評が多く公開されていますが、大道具としての壁をあまり使わずに吊り物の大きな板で空間を区切っていました。シンプルだからこその難しさもあるのですが、陳腐になることもなく、空間をうまく切り取っている印象を受けました。

ボッカネグラ。直訳すると「黒い口」になるのですが、黒い衣装と赤い衣装、黒色の壁と赤色の壁の対比がきれいでしたね。上空につられた逆さの火口からは噴煙が垂れ下がり、どこか不穏な空気を舞台面に垂れ込めさせます。

政治的な確執と、登場人物たちの愛。アメーリアがあのあと幸せに暮らせたかは定かではありませんが、フィエスコ、シモンととても幸せに暮らしたとは言えない世代に続く次代の総督夫人であるならば……

しかし、どうあってもシモンと叫ぶ民衆の側でしかいられない私の言葉をこれ以上重ねたところで野暮というものでしょう。既に公演は終わってしまっていますが、また別の演出で見てみたいと思う作品でした。

バトンの上下操作きっっっっつと思ったり、カーテンコールで緞帳の緊急停止を見たりと舞台芸術としても勉強になるところが多くありました。あのキュー出し絶対ミスるからやりたくないなぁ