新刊準備中

10月9日のGLfes39に向けて新刊を準備しています。こちらは基本的には印刷会社さんに頼んでいるので後は到着待ちですが、既刊の方をこちらに書きながら作ろうかなと思っています。

版組

小説同人誌、何で書かれるのが普通なんでしょう。InDesign?Pages?一太郎

残念LuaLaTeXだ。

この記事はLaTeXユーザー向けに何かするものではないので詳細は詳しい他の記事に譲りますが、jlreqクラスにpxrubricaでルビなど、luatexjaでフォント周りというスタンダードなことしかしていません。おかしなことはその後。

いわゆる1頁の大きさ、つまり本自体の大きさ程度に出力された最初のPDFがこんな感じ。

画像化されたテキスト: 海岸線路の夜 がたん。列車はブレーキをかけて少しの揺れと共に動きを止めた。  「あ、お姉さん目が覚めました?」  梨璃の頭上から声がかかる。傾いていた体を起こし寝ぼけ眼をそちらに向けると同じ年頃の少女が梨璃の顔を眺めていた。梨璃の方がひとつふたつ年嵩と見え、実際彼女は百合ヶ丘中等部の制服に身を包んでいた。固より高等部入学組の梨璃が中等部の後輩の顔を見知っている
綺譚1ページ分のPDF

ここからテクニカル(?)なことをやっていて、別のTeXファイルで折り本になるように2ページを並べて、加えて原稿用紙のような匡郭やら版心題やら魚尾やらをあらかじめPagesで作った別PDFファイルから呼び出して合成してこんなPDFに変形させました。

画像化されたテキスト: 海岸線路の夜 がたん。列車はブレーキをかけて少しの揺れと共に動きを止めた。  「あ、お姉さん目が覚めました?」  梨璃の頭上から声がかかる。傾いていた体を起こし寝ぼけ眼をそちらに向けると同じ年頃の少女が梨璃の顔を眺めていた。梨璃の方がひとつふたつ年嵩と見え、実際彼女は百合ヶ丘中等部の制服に身を包んでいた。固より高等部入学組の梨璃が中等部の後輩の顔を見知っているわけもなく、そんな後輩に頭を預けて惰眠を貪っていたと分かると頭にかかった霞はすぐ霧散していった。  「ご、ごめんなさい。よりかかっちゃって……」  「お疲れみたいですし、気にしなくて良いですよ」  爛漫とした笑顔で彼女は答えた。駅名標を見ると乗り込んだ駅から三つ四つばかり進んだところであった。既に夜の帳が降りて久しく、車内に乗客はいなかったはずである。どうやらこの後輩は途中から乗り込んできて梨璃の隣に腰掛け、高等部生の枕を決め込んでいたらしい。  扉が音を立てて閉まり、ゆっくりと列車が加速してい
綺譚の印刷用PDF

それっぽい表記をするならば、「四周双線無界二十五字十一行双魚尾」になるんでしょうか。

印刷

既にお持ちの方はご存知の通り、和装本にしたいと思っていました。そこでいい感じの和紙(自宅で印刷できるもの)を探していて見つけたものに自宅のインクジェットプリンタで印刷しました。

印刷したもの(撮り忘れたので一枚だけあった折り損じの下に未使用の紙を重ねて誤魔化したもの)

ここでも小技(?)を使っています。通常、このようなインクジェット対応の和紙といえば裏表があります。なぜかは詳しいサイトが山ほどあるので割愛しますが要は滲まない面と滲む面があります。もちろん滲む面への印刷は公式が推奨しているものではないので自己責任ではありますがなんか試しに刷ったらいい感じだったので本来では印刷しない方の面に印刷しています。

読みやすいしいい感じの滲みじゃん!と無邪気にはしゃぐ当時の私に「給紙不良のこと考えた???」と聞いてやりたいです。ただでさえ通常のインクタンク一つがおおよそ5冊の印刷で消える中、給紙不良によるミスで一体何部分が計算用紙行きになったか数えたくもありません。

一つ言えるのは、刊行以降、メモ書きに困ったことはありません。

折り

印刷できたら後は簡単です。折って重ねて綴じるだけ。この本は47丁(ページ数で言うとその二倍、表紙裏表紙込みで94頁)になるので一冊あたり47枚折る必要があります。やり方にもよりますが、一冊分全部折るのに大体20から40分はかかったでしょうか。それが9冊分積み重なったのがこちら。鶴紗様…いっぱいおったよ…

折ったうえで軽くプレスした後のもの。サイズ比較用安藤鶴紗様を添えて

ここから下綴じ、表紙裏表紙つけ、綴じ、題箋はりと行きますが今日はこのあたりで。

ごきげんよう