製本作業(2)

新刊作業中の続きです

下綴じ

折れた頁(折り丁って言うらしいです)を順番通りに並べて重ねると、穴を開けてこよりで綴じる下綴じをします。

官僚の方、昔は公文書全部やってたらしいですね。耐久性と保存性という意味ではピカイチなのでそういう意味だったんでしょう。

さて、ものの本やYoutubeのHowto動画によると、専用の目打ちで穴を開けるとされています。こちらがその目打ちです。

金属製の目打ち
目打ち。サイズ比較は鈴木因様のヨートゥンシュベルトペーパーナイフ。

穴を開ける位置に印をつけて、目打ちを当てて叩きます。

叩く……

全然穴開かない……

結構騒がしくガンガン叩いたのですが非力ゆえか全然貫通しません。そこで目に入ったのが木工鞄に入っている錐。これならいけるだろと勢いよく回します。

うでないなった。

今回学んだこととして、紙は意外と硬いです。そりゃ鍋にもなるわけだ。

しかし問題は解決していません。穴を開けて綴じなければ製本はできません。何よりこれは「下」綴じなのでこの後でもう一回綴じる必要があります。感覚のなくなった両腕をさすっていると便利なものが目に入りました。

Makita 充電式インパクタ。

先端をドリルビットに変えて穴を開けていきます。快適。

そうやって開けた穴に紙をよってつくったこよりを通して糊付け、そして綴じた方の天地に角裂を貼り付けて下綴じは完成です。なおこちら使用している糊は全て澱粉糊なので水で溶かして綴じなおせます。乱丁があった場合は是非ご自分で綴じ直してみてください。題箋以外は水つけても大丈夫だと思います。

下綴じが完了したもの。これの角裂はオレンジ色のを選んでみました。

表紙貼り

工程の名前があってるのかはわかりませんが、表紙裏表紙となる別の紙を貼って糊付けしていきます。

表紙用の紙は本の出来上がり(B5 JIS)より一回り大きく裁断してあります。まず中央に軽く糊を乗せて本体と接着、後は四周を折り込んでなんやかんやして小口側(開く方)を糊付けします。詳細はものの本やYoutube解説をご覧ください。

表紙と裏表紙をつけた。

基本的には江戸時代行われていた綴じ方と同じような方法をとっていますがこれは大変ですね。特に当時インパクタなんて便利なものはなかったわけで穴を開けるのも一苦労です。技術ってすごいなぁと思いつつ、糊が乾くまで軽くプレスして放置します。

というわけで今日はこの辺りまで。 もしかしたらイベント当日にスペースで半泣きになりながら最後の糸で綴じる工程をしているかもしれません。

「既刊一冊ですか? あと五分で綴じるので待ってください」