ぱそこんをかいました。

経緯

さて、皆さんご存知の通り、私はどちらかというと自然科学よりの研究者見習いLv2です。

専門分野の話をすると、多くの知り合いに「……文学部だと思ってた」と言われるのにはいまだに納得がいっていません。当方、修士号に加えて学芸員の国家資格を保持しています。だからか。

というわけで、ちょっとお家でばりばり計算走らせるのにいいパソコンが欲しくなったわけです。

CPUは13世代?とかのi7、メモリは64 GB、GPUは4070Tiってやつです。 ディスクはとりあえずCPU直結(?)M.2接続の4 TB SSDとM.2接続の1 TB SSD(こっちにWin11 Proいれてもらった)になってます。気が向いたら増やす。ふやすから。

お店のお兄さんに「RAMがでかいGPUと、2.5 TB以上のSSDをできればM.2で。あと予算はXXXXXXX。これでなんかいい感じにお願いします」とやったらこうなりました。

きれいに(組み立て代行とか送料とか除いて)予算ピッタに仕上げてくれてプロはさすがだなぁとなりました。

RAMがでかいGPU、2.5 TB以上のSSD。勘の良い方は気がついたでしょう。そうだねAlphaFold2だね。普段はColabFoldというオンラインで動かせるやつを使っていたのですが、ちょっと自分でも動かしてみたくなったんです。

AlphaFold2 をWin11ProとUbuntu22.04 LTSデュアルブート環境に入れてみよう

さて、まず前提ですが

  1. PC本体は上に書いた感じ。
  2. 筆者のPCスキルはターミナルでbrew installとかapt-get installはできる。aptとapt-getの違いはよくわからん
  3. 筆者のプログラム関係スキルは、世界に挨拶し続けてるレベル
  4. 組み立て、OSインストール代行サービスのおかげでとりあえず1 TB SSDの方にWin11Proが入ってて、4 TBの方はDドライブとして認識されている

というわけで作業を始めるわけですが、これを書いている段階でAlphaFold2用のデータベースをDLしているところなので、今日は記事を分けてデュアルブートにし、nvidiaのドライバー関係を整えるところまで書こうかなと思います。

つづく

公開しました

Web再録っていうんでしたっけ

さて、いい加減やらなきゃなぁと先延ばしにしていた

  • 荷解き
  • 本文公開

のうち二つ目をやっつけてしまおうと思って先ほど公開しました。

ブログをお読みの皆さんはご存知の通り、私はLuaLaTeX環境で文章を書いています。 そのため、ピクシブなどに対応した形式に変換するのがちょっとばかり面倒だったりします。

私はpxrubricaパッケージでルビや圏点を振っているので

\ruby[g]{漢字}{読み}

\kenten{ほげふが}

の形で本文中に登場します。また段落分けや行頭一字下げ、記号関係の処理など、LaTeXはゆうしゅうなので全部やってくれます。

正規表現で置換してもいいのですが、非アルファベットのコマンドなんだっけなどと調べている時間で手作業で変えた方が早いのでずっと手作業でやってしまっています。反省。

段落の間の空白行や行頭の一字下げ、ネット小説が隆盛を極めてから色々議論がなされているような気がしています。私は紙媒体なら段落間空白行なし、行頭一字下げありが読みやすくて好きですが、画面だと空白行あったほうが目が滑らなくていいんですよね。なんででしょう。

この辺り、電子書籍と紙の書籍の差で、単純な流通の違いよりも形而上にありそうな差のような気がしています。図書館で電子書籍をどのように扱うかなどは先行研究が大量にありますし、電子書籍のみの図書館が七年ほど前に既にアメリカで完成していたりします

current.ndl.go.jp

(アクセス2023. Nov. 18. 18:54 JST)。

二百年前の製本で作っておいてなんですが、私は電子書籍は推進してほしいと思っています。情報の組織化や、検索、保存場所などの問題を一挙に解決しうるものだからです。 ただ、それは紙の本を絶滅させるものではなく、相互補完するものであってほしいです。例えば紙の本は国会図書館と指定する公立図書館で積極的に保存し、小規模館などではスペースのなさを電子書籍でカバーするなど。

私もどうせ紙の本買うでしょうし、幾つになっても片付けられず本の山の中で暮らしています。

難しい問題ではありますが、色々考えていきたいところです。NDLの東京本館の書庫が一杯になってから焦るのでは遅いので。

以上、ちょっとまだ単位足りない司書の卵の戯言でした。レファレンス系の参考図書くらいは館内限定でいいから電子化しません……?国歌大観とか重いんですよ……

イベントお疲れ様でした

惹き合う運命11th

数日前、都立産業貿易センター台東館にてイベント参加してきました。

初回30作って行って一般開始1時間くらいで完売してたのと、今回は印刷会社さんに頼んでいた関係で増刷が面倒臭い難しかったので確実に在庫が出る50でいきました。遠方の友人など参加が難しい人の分も取っておかなきゃでしたからね。

当日朝、売り子さんにこの電車でいくよーって言ってたやつに乗り損ね、買ってなかったボタン電池を駅近くのイレブンで枯らし、なぜか観光客に"The register there, is open."と空いたレジ案内しとやっていた結果がサークル入場開始直前の合流でした。

Ah, yes. Usually, in my university, I use english to discuss something. Don't hesitate to talk to me in english! However, if you're able to use French... Je sais parler français mieux que l'anglais.

はい。戯言はこれくらいにして、売り子さんを「かわいくなっておいで」と送り出し、黙々と設営しました。

サークルスペースの写真。右側にアクリルケースに収められた既刊、新刊。左側に説明の解説パネル
設営図

一通り終わって一息ついたら売り子が(頒布物には関係ない夕星様になって)帰ってきたので頒布価格とかの打ち合わせをして二水ちゃん合同とかを買いに行きました。

その後はまぁお散歩したり、なぜか私の推しの格好したコスプレイヤーさんに頼まれてアームカバーして握手したらコスプレイヤーさんが限界と化し、「これ中身わからない」と至極真っ当なツッコミを受けと楽しい時間を過ごしました。

ちょっと色々遊びすぎて価格が価格なので、財布的にきついなあという方は多かったと思います。文章自体はそのうち公開しますし、入手できなかったことが気になるなら、次回以降の機会を狙うかあるいはお近くの美術館、博物館の募金箱に相当額を入れておいてください。

我が国の文化財保護にご協力いただき、ありがとうございます。(鐘花文庫学芸員: 魔女宅)

お隣さんが死にそうになりながら持ってきてた未製本のコピ本をいいからよこせしてせっせと折ったり、何気にお話ししたことなかった反対側のお隣さんと色々おしゃべりしたりとたのしかったです。積み上がる在庫は見なかったことにしています。

ちなみに今回の陳列は基本的には東京国立博物館東京五輪前のキャプションパネルを参考にしています。特に英文フォントは東博のブログみたいなのみてAvenir使ってたんだぁとちょっと驚きました。

そして終盤、謎の追い上げを見せて既刊が残り二冊となり、更衣室の時間もあるので売り子さんを「現実に戻っておいで」と送り出し、展示パネルをアフター景品に押し付け提供し、撤収しました。

戦利品はまだ荷解きしていないのでまた後日。 二水ちゃん合同の他にも同じ和装本だぁとなっていた繪入の和歌集(アフターに出ていた読み札も獲得できました。まぁ私にかかればじゃんけんくらいちょちょいなのです)、初参加時にお隣で大変お世話になったお姉様のところのトワツガイ本など色々あります。ぼーっと座ってるのが楽しくて買い損ねたものがちらほらありますが、それも巡り合わせでしょう。

なお差し入れは当日スペースで美味しく頂戴いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。

続錦藍綺譚の読み方

さて、今回はアンカット製本と呼ばれる製本でお願いしています。 これを書いている時点ではまだ発注したものは届いていないのですが、展示用に作った見本があるのでこちらで解説しましょう。

続錦藍綺譚の一部を開いたもの

少し見辛いですが、ページ同士が折り目で繋がっているのがわかります。通常現代の製本ではこうして作った本の天地(上下)と小口(開く側)をきれいに裁断し、よく見る本の形にします。

なぜアンカット製本が行われたかなどは以前の記事(続錦藍綺譚製本(2) - 鐘花文庫のブログ) を参照していただくとして、今日はどうやって読むのかを解説していきます。

当然折り目を切り開く必要があるので、ペーパーナイフなどの紙を切れる道具で折り目を切っていきます。

youtu.be

こんな感じ。このYoutube動画は限定公開なのでURL入れないと見つからない様になっています。悪しからず。

動画の最後で触れている通り、展示用のは折り目のところで複数枚の紙が重なる仕様で、切るのが少し大変です。しかし、頒布するものは折り目のところは一枚だけしかない仕様なので、もっと切りやすいはずです。

動画の最後の方で見える様に、性質上カットしたところはギザギザとした端になります。カッターなどの鋭利なものだともっときれいな端(アンカット本らしくなくなってはしまいますが、読めはします)になりましたが、くれぐれも怪我なさらない様お気をつけください。

推奨はペーパーナイフです。そもそもペーパーナイフはこのための道具ですから。アニメグッズにも(何も切れなさそうなものもたまにありますが)ペーパーナイフ見かけますし、日々の生活でも封筒を開けるのに使えます。おしゃれなペーパーナイフがあると日々の生活に彩りが生まれるのではないでしょうか。

最後に、ヨートゥンのペーパーナイフでも切れないことはありませんでしたが、新刊で使用した紙が厚めでちょっとあの第一世代CHARM (でしたっけ)が耐えられるか不安なのと私の手が痛くなったので使用は推奨できません。

続錦藍綺譚製本(2)

続きです。

糸かがり綴じ

一晩プレスすると折り目もだいぶ落ち着いていました。ありがとう、床に積み上がっていた大量のボーカルスコア。

さて、やっていくことは和装本の時と似ていて、穴開けて糸で綴じていく工程です。本来はコデックス装とかにするのでこの段階で表紙が着きますが、今回はフランス装で作るのでここでは本文のみです。

背側に一列に穴を開けて和装の時より細い麻糸(蝋引したもの)でせっせと縫っていきます。 折丁同士が離れてしまわないような工夫がいろいろあり面白いものだなぁと糸を通しては次の折丁(台)を重ねる無限ループです。

無限ループと言っても80頁の本文を三回折で面付けしているので5台しかないですが。

出来上がったら糸が入って暴れ出す折り目を上から押さえつけて落ち着かせ、その間に表紙を印刷していきます。

表紙をつくろう

表紙はなんかそれっぽく右から左の横書きで、そして裏表紙にはプリンターズキーと呼ばれる数字を漢数字で入れてみました。このプリンターズキーは古く活版印刷の時代に使われました。活版印刷では、大量生産をする場合、活字を組んだ後に鉛版という凸版を作って輪転機にかけます。この版が初版や第二版と呼ばれるやつですね。第二版は二枚目に作ったやつなので当然細部がいろいろ異なりますし、大幅な修正が入ることもあり得ます。対してプリンターズキーが示すのはその印刷物が何刷か。同じ鉛版を使って何ロット目に刷ったやつかということです。現代ではデジタルで版面を作ってしまうので「第一刷」を「第二刷」にすればいいですが、鉛版を作り直すにはいちいち活字を組み直す必要があり手間がかかります。そこで考案されたのがこのプリンターズキー。第二刷を作るときは端っこの1(私のデータだと漢数字の一)を削り落とします。すると印刷されている中で一番若い数字が2になるのでそれが第二刷とわかるわけです。なぜ順番がおかしいかというと、端から削って行っても中央揃えが維持されるかららしいですね。最近の印刷物でも洋書は同じ様にプリンターズキーを入れていることがあるのでお手元の洋書を少しみてみると楽しいかもしれません。

表紙に用いるための画像データ。表紙、裏表紙、背表紙にあたる画像が折ると本のカバー様になるように配置されている
表紙データ

最初はなんでもできるTeXのトンボパッケージでトンボをつけようとしたのですが、tikzと競合してしまうのか、座標系がおかしくなってしまったので泣く泣くただの長方形で裁断位置を示しました。この製本のために導入したA3ノビ対応プリンターでプリントし、どうせ一枚だけなのでカッターで裁断します。NTカッター、初めて使いましたけど重さがしっかりあって手に馴染んで使いやすいですね。

その後寸法に合わせて切り欠きを作ったり折り目を入れたり糊付けしたりして表紙ができました。これを本文の背に糊付けして完成です。

フランス装と呼ばれる装丁は仮製本の一つです。おそらく同人誌を作る人が「フランス装で」と言うと表紙が横に長く伸びて折り込まれるものを想像することが多いと思いますが、これは小口折製本や雁垂れ製本と呼ばれる全く別の製本です。

フランス王国で「製本業者と印刷業者を区別せよ」みたいな命令が出された時に生まれたみたいな説明がなされている様で、そこからフランス装という名前がついています。その特徴はおそらく以下の二つ。

  1. 折丁を重ねて綴じ、製本したのちの裁断を行わないアンカット製本
  2. 天地小口を折り込んで固定された簡易的な表紙

アンカット製本というのは読んで字の如く、裁断しない製本です。本を作る時、一般的には一枚の大きな紙に複数ページを配置します(面付け)。その後それを折りたたんで重ね、綴じます(無線綴じなら糊で、糸かがりなら糸でetc...)。そして最後に折り目となって頁同士を繋げている天地小口を裁断機でズバッと切って綺麗な本になるわけです。これが同人誌でも「本文は4の倍数ページで」などと指定されている理由です。

例えばA4の本を作る時、A4の本文データをA0に割り付けるとA0一枚あたり片面2の4乗頁分(16頁分)が印刷されるので紙一枚につき32頁印刷されることになります。これは4回折ることで本一冊の大きさになるので四回折などと呼ぶらしいです。今回の自家製本では片面8頁の三回折で印刷していますが、印刷所さんに頼んだものは折機の都合などで片面4頁の二回折になっています。なので展示用では天と小口側に折り目が発生します(天袋で面付けしたので。面付けのパターンによっては地と小口側に折り目がくることもありましてこれを地袋といいます)が、頒布用は天だけに折り目が現れます。切るの簡単ですね。ちなみにヨートゥンシュベルトで同じ紙を切ろうとしたのですが、折れそうになったのでやめました。皆様もちゃんとしたペーパーナイフか、カッター等で切り開くことをお勧めします。

続いて、簡易的な表紙です。これは簡単に本文から取り外せることを意味します。なぜか。印刷業者が製本できなくなったからといいます。読者(往々にして当時本を買えるのは大抵上流階級です。印刷が発明されてもまだ本は高価でした)はページを切り開きながら読み進め、読み切ります。その後、製本を担う職人(ルリユール Relieur)に本を渡し、豪奢な革装などに仕立てた上で蔵書としたのです。今でもこうした製本を行う人はプロアマ問わずおり、例えばペーパーバックであれば裁断した上で装丁し直すことも不可能ではありません。皆さんの中にも教科書を裁断してスキャンした(自炊と俗に言われますね)記憶がある方もいるでしょう。これも一種のルリユールかもしれません。

フランス装について語っている間に無事糊が乾き、製本が終わりました。

画像: 本立てに立てかけられた続錦藍綺譚と、サイズ比較用のアクリルスタンド(アサルトリリィの吉村・Thi・梅)が並んでいる
完成した続錦藍綺譚とサイズ比較様の梅様

ポケットサイズの文庫という感じですね。

適当な位置で開いた続錦藍綺譚。左側を見ると天と小口が折り目になっていてこのままでは開けないことがわかる。

イベントまでには手元動画でこれを切り開く様子を撮って参考にしてもらおうと思いますが、三脚をどこにしまったのかわからず家探しをしています。呼んだら返事する三脚、需要あると思うのでメーカー各社におかれましては是非ご検討の程をお願いいたします。

新刊(続錦藍綺譚)製本(1)

ことの発端

実は最初は新刊も自家製本しようとしていました。しかし、まとまった時間が取れず、加えて以前少し印刷で相談していた印刷会社さんがやりたい製本を手の届く金額でやってくれるということでPDFをお送りして今到着を待っているところです。

ではなぜ「新刊製本」なのか。昨日、告知ツイートをしました。

はい。「異常設営」とまた言われています。こういうことを思いついてしまったのに加えて、今回の製本は少々読むために手順が必要なものとなっているので、読み方を何らかの形で公開するついでに頒布するものとは別に「展示用」のものを作ろうと思った次第です。

PDFを準備しよう

いつも通り、LuaLaTeX + jlreqで何やかんやして版面を作ります。これは最終的な本のサイズである105 mmかける145 mmになっています。はい。変版です。

画像化されたテキスト: Tibi peccata  太陽が沈んでからしばらく経った頃、長い戦闘がようやく終わった。明治神宮にほど近いところに据えられた野戦病院には多くのリリィが担ぎ込まれている。意識を失いかけているシュベスターにすがりつく者、応急処置を終えて学院近くの救命救急センターに搬送される者、軽い処置を受けて自分の足で帰る者。怪我の程度は様々で、この時代の十代の少女たちにとってはある意味見慣れた光景であった。その中で唯一異彩を放っているのは、白衣を纏って走り回る医療スタッフに紛れて黒衣に本を携えた男たちがいるところだろうか。
新刊の1ページサンプル

続いてこれを面付けしていきます。どうやらInDesignなどでは簡単にいくらしいですが、ページ数も高が知れているので、いつものように別のTeXファイルを用意してTikzで面付けしていきましょう。Tikzしか勝たん。

片面に8頁づつの計16頁を一枚の紙に印刷します。この辺りが印刷会社さんに出す時にページ数はホニャホニャの倍数でと指定される理由ですね。多くの場合は片面2頁の4頁付けになるはずなので4の倍数でしょうか。

怒涛の\includegraphics[page=ほげ,angle=ふが]{1ページづつつくったPDF}でごちゃごちゃやってこうします。

面付けしたもの

この紙を3回半分に折ることで1頁の大きさにまで小さくなった折丁ができました。

だいぶ折り目が太くなってしまったので、軽く水引(水で濡ら)して上から重石で抑えます。

全ての紙を折って重ねたもの。折り目が広がりかけている。

明日にはしっかり折り目がついていることでしょう。

それではおやすみなさい。

製本作業(4終)

さていよいよ最終ステップです。

糸綴じ

写真。四つ目綴じの和装本。「錦藍奇譚」と書かれた題箋が貼り付けられている。
完成形。糸は麻糸を使用しています。

まずはこちらが完成形です。今回使用しているのは麻糸になり、このような用途で使う際には表面の毛羽立ち、摩擦が問題になります。綴じている間に糸が動かなくなって引っ張ると製本針の糸通す穴が壊れてしまいます。壊れました(一敗)。

そこで、一度蜜蝋で擦って蝋引きしてあげます。すると表面は滑らかになり、副次的に糸を針に通しやすくもなります。最近指先が不器用になりつつあるのでありがたい限りです。

綴じの詳細はまたものの本に譲るとして、少し綴じの形式のお話をします。

今回採用したのは穴が4つ空いている四つ目綴じと呼ばれる形式です。このほかに穴が5つのもの(朝鮮の版本に多いと聞きます)、四つ目の穴の近くにさらに穴を増やして装飾的になった麻の葉綴じ、亀甲綴じ、そして構造上弱くなる角部分に穴を追加して強く綴じる康煕綴じ(こうきとじ)などが知られています。

穴の数と位置、綴じる手順が多少異なるだけなので、ふと思い立ったらやってみても面白いのかもしれません。

ともあれ、これで「錦藍奇譚」は完成です。多分八部程度持ち込むと思います。10/9、惹き合う運命11thのスペースD06でお待ちしています。

ところで私はつみあがっている1000枚の本文用和紙(特注品)をどうするつもりなんでしょう。